現代のことば
三笠宮 彬子 女王 殿下
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%AC%E5%AD%90%E5%A5%B3%E7%8E%8B
（あきこじょおう）
「いろいろ赤白ジャージに染まる街」
この度（たび）、ラグビーワールドカップの観戦と講演のため、フランスとスイスを訪れた。
9泊11日の長旅であったが、どの地でもとてもあたたかい歓迎をいただいたのは本当にありがたいことだった。
ラグビーワールドカップは4年に一度開催されており、令和元年の日本大会での日本チームの活躍が記憶に新しい方も多いのではないだろうか。
子どもの頃からラグビー大好き人間の私だが、海外で観戦するのは初めてのこと。わくわくしながら彼の地に渡った。
チリ戦でトゥールーズ、イングランド戦でニースを訪れたが、どちらの街にも桜のジャージを着た日本人ファンがたくさん。
古い街並みに赤白がよく映え、とても誇らしい気持ちになった。
ニースでは、日本戦の前日に試合があったウェールズのファンが街にあふれて赤一色。
そこかしこからお酒を片手に陽気な合唱が聞こえてきた。日本人だとわかると、
色々な人が「ガンバレニッポン!」とか、「前回日本に行ったけど、本当に素晴らしい大会だった」などと声をかけてくれたし、お昼る姿や肩を組んで写真撮影して い
に立ち寄ったお店でたまたま後ろ姿などが話題になっていた。試に並んでいた日本人ファンのご夫合が終われば敵も味方も関係な
婦とラグビー談議に花が咲いたのく、お互いのチームの健闘を選手
もよき思い出である。ラグビーをばかりでなく、ファンも称え合い、
きっかけに、世界中の見知らぬ人 仲良くできるというのは、さすが
たちと心温まる交流ができ、改め 紳士の国英国で生まれたスポーツ
てラグビーが好きでよかったと思った。
ンドの赤白に染まっている様子を上から見たときは、ぐっとくるも
日英協会と日本ラグビーフットボール協会の名誉総裁としては大変複雑な立場であったけれど、爪にイングランドと日本
の国旗をつけ、胸にはイングランドのバラのブローチ、赤白のスーツで両国に敬意を示しつつ、
日本を応援させていただいた。
結果は負けてしまったけれど、昨年の秋イングランドに大敗した試
合を見ていただけに、スクラムもディフェンスも全く負けていない姿に涙が出そうになった。
大変心強かったのは、同席されたモナコのアルベール2世殿下
が、惜しみないご声援を日本チームに下さったことである。日本がミスをすると、「もったいない!」
街と本気で悔しがってくださったし、いいプレーをしたときは手放
しで褒めてくださった。本当にラグビーがお好きであることが伝わ
ってきたし、ご公務でお忙しい中、日本戦にわざわざ足を運び、応援
してくださったのは、心にしみるできごとだった。
翌朝のニュースでは、夜中に終わった試合であったにも関わら
たた であると思う。ワールドカップでった。
活躍した外国人選手も、今年はリーグワンにたくさんやってくる。
今からシーズンの開幕が楽しみでチリ戦ももちろん大興奮の戦い
だったのだが、イングランド戦の熱狂は特に心に残っている。スタならない。
(京都産業大学 日本文化研究所 特別教授)
京都新聞 夕刊より
